肌の基礎知識

すこやかで美しい肌作りのために、これだけは知っておきたい肌のこと。

表皮

厚さ0.2mm。目に見える一番外側の部分。

表皮の構造と役割

皮膚の一番外側にある表皮は、官製はがきの厚さ(0.2mm)と同じくらいの平均約0.2mm程度。
このわずか0.2mmの表皮は、外側から角層(かくそう)、顆粒層(かりゅうそう)、有棘層(ゆうきょくそう)、基底層(きていそう)の4つの層からできています。

●角層

皮膚の一番外側にあり、核のない平べったい死んだ細胞(角層細胞)がレンガ壁のように積み重なり、細胞同士のすき間を脂質(細胞間脂質)が埋めています。角層細胞の中には天然保湿成分のNMFがあり、角層の水分を保つのに大きな働きをしています。

●顆粒層

核を持ち、平べったい形の顆粒細胞が1~4層をなしています。細胞内には、角化過程において顆粒層で作られるタンパク質「ケラトヒアリン」というガラス質状の顆粒(ごくごく小さなつぶつぶ)があります。

●有棘層

核を持つ多角形・大型の細胞が10層ほど重なっている、表皮の中でもっとも厚い層。体内に侵入した異物を見つけだすセンサーの役割をしているランゲルハンス細胞と呼ばれる樹枝状の細胞も存在します。

●基底層

表皮の一番下、真皮にもっとも近い場所にある層で、真皮の毛細血管から栄養を受け取り、細胞分裂を起こして新しい表皮細胞をつっています。基底層には、メラノサイトがあり、紫外線から体を守る色素「メラニン」を合成します。日やけで肌が黒褐色になるのはメラニンのためです。

表皮の細胞は、表皮の一番下にある基底層で生まれ、その後、時間とともに形を変えながら、次々に生まれる細胞に上へ上へと押し上げられていきます。
最終的には死んだ状態で角層細胞となりますが、この細胞は新しい細胞に内側から外側に押し上げられるようにして表面まで上がり、最後はアカとなって自然にはがれ落ちます。
これを新陳代謝(ターンオーバー)と呼び、健康な肌の場合、約28日サイクルと言われています。

肌を守る2つのバリア層

表皮は体外の刺激(アレルゲンや化学物質など)から守るとともに、体内からの水分の蒸発を防ぐバリア機能を発揮します。
角層と角層の表面を覆っている皮脂膜が、その主なバリアとして働きます。そして近年、角層の下層の顆粒層にあるタイトジャンクションが第二のバリアとして注目されています。

角層は、角層細胞が積み重なり、その間を細胞間脂質が埋めるという「レンガ(角層細胞)とモルタル(細胞間脂質)」のような構造をしています。細胞間脂質は、セラミド・コレステロール・脂肪酸などが立体的な構造をとることによりバリア機能を形成し、アミノ酸をはじめとしたNMF(天然保湿因子)が水分を抱えることで角層の水分を保持しています。

もうひとつのバリア、タイトジャンクションは、隣り合う細胞と細胞の間をぴったりとシールしています。
角層を通り抜けた外部刺激(病原体やアレルゲン物質など)が、細胞と細胞の隙間を通り抜けて体内に侵入してくるのを防いだり、内部からの水分の喪失も防いでいます。

細胞がお風呂のタイルだとすると、タイルとタイルの隙間のシールする目地が、タイトジャンクションです。タイトジャンクションは、顆粒層の外側から数えて2番目の細胞の細胞と細胞の間をシールしています。
そのため、バリア機能が低下すると、アレルゲンなどが侵入しやすくなることで、かゆみや湿疹、アレルギー性皮膚炎などの原因になります。